東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
冬休みも近付き、1年生の生活科では、内容(2)家庭と生活の単元に取り組んでいると思います。今回は、この家庭と生活単元についての考え方と工夫についてお伝えします。
この家庭と生活単元は、家庭での生活について考えることが中心となるため、どのような活動をすれば良いのか、子どもたち一人ひとりがどのように考えどのように取り組んでいるのかが見えにくい単元です。まずは、本単元ではどのようなことを大切にするかを考えます。
『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編』には内容(2)家庭と生活について次のように記されています。
第3章 生活科の内容 第2節
(2)家庭生活に関わる活動を通して,家庭における家族のことや自分でできることなどについて考えることができ,家庭での生活は互いに支え合っていることが分かり,自分の役割を積極的に果たしたり,規則正しく健康に気を付けて生活したりしようとする。
本単元ですが、お手伝い単元と聞くことがありますが、家族の仕事を手伝うという考えで良いのでしょうか。
仕事も手伝うのではなく、自分も家族の一員としてできることをするようになってほしい。つまり、自分の仕事として捉えられるようになってほしい、そして仕事に限らず、自分のことを自分でするということや規則正しく健康に気を付けて生活しようとするということも同じように大切にしてほしいと思っています。
具体的には、次のようなことができるようにしていきます。
- 家庭での生活を考えて、家庭での生活は、家族の様々な努力や仕事によって成り立っていることに気付くことができるようにする。
- 家庭生活をよりよくするためにできることがあるのではないかと考え、気付くことができるようにする。
- 自分のことを含めた家庭生活をより良いものにしていくために自分にできることをこれからもしていこうとするようにする。
単元の導入の工夫(授業前)
家の仕事や自分のことを自分でしている、家族と楽しんでいるそのような絵本の読み聞かせをしたり、本を展示したりします。
単元の導入の工夫(授業中)
はじめから家庭について考えるとすると個人差があるのでまずは、学校生活を例に考えます。学校生活の中で、自分からやるべきことをしっかりとしている様子、掃除や給食などの仕事を責任もってしている様子、友だちと楽しく過ごしている様子などの写真や動画を撮って見せます。そして、学校で周りの人たちが笑顔(よりよい生活になっている)時はどのような時かを考えます。
子どもたちからはこのような発言があります。
- 校長先生に自分から挨拶をしたら笑顔になった。
- 自分から次の時間の用意をしたら先生もみんなも笑顔になった。
- 掃除を頑張って教室がきれいになったらみんなが笑顔になった。
- みんなで歌を歌ったら笑顔になった。
そしてこれらを、子どもたちと一緒によく見てみると三つに分けられそうだということが見えてきます。
- 自分のことを自分でしっかりとする
- 仕事をする
- 楽しめることをする
そして、上の三つでまずは学校で頑張りたいことを考えて数日取り組みます。そうすると、「家でもしたい!」となり、家庭での取り組みにつなげていきます。
家庭で取り組みたいことも前述の三つで考えます。
自分のことを自分でしっかりとする
- 宿題を自分からする
- 歯磨きを言われる前にする
- 次の日の用意を自分でする
仕事をする
- テーブルふきをする
- 玄関掃除をする
- お皿運びをする
- 洗濯物をたたむ
楽しめることをする
- 一緒に歌を歌う
- 読み聞かせをする
- 手紙を書いて渡す
仕事を選ぶ際の考え方としては、料理をする・お皿洗いなどやってみたいことにチャレンジしてみるのもよいですが、最終的には、自分の仕事としてできるだけ毎日続けていくことができるようなものに価値があるのだということに気付いて、選べるようになってほしいと思います。
また、単元全体の取り組み方として、内容(9)の自分の成長の単元と組み合わせて行い、学校でどんなことができるようになったかを考える活動から、それらの中で家庭でもできそうなことを考えて取り組んでいくという方法もあります。
単元名は、学校での取り組みを考えたタイミングに合わせて子どもたちと考えました。「みんな笑顔大さくせん」「笑顔いっぱい大さくせん」「きらりん大さくせん」など、子どもたちの実態やイメージに合わせて考えます。
今回は、家庭と生活単元の考え方や導入の工夫についてお伝えしました。
1年生も後半に入り、できるようになったことがたくさんあるこの時期。学校でも家庭でも意欲と自信をもって生活できるように、学校生活も家庭生活も自分たちで自分たちの生活をよりよいものへとしていくことができるようにしていきましょう。
つづく
プロフィール
東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。