東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
10月も半ばとなり、都内もようやく秋らしくなってきました。都内では、例年秋の訪れを感じることができる時期は10月終わり頃です。年によっては11月になってようやく秋らしくなることもあります。
さて、そこで本日は、内容(5)の季節の変化と生活の単元のつくり方について改めて考えていきたいと思います。
これまで私も何度も実践してきた秋の単元ですが、子どもたちに人気のドングリを使った遊びをメインの活動として行ってきたことが多くありました。子どもたちはドングリを見ると大喜びで、振ってみたり、回してみたりしています。また、図鑑でいろいろ調べる子もいます。大変魅力的な材です。
ドングリが身近にある場合はもちろんドングリをメインとした単元を考えるとよいと思いますが、そうではない場合はどのようにしているでしょうか。
私が現在勤務している学校の状況は次の通りです。
- ドングリは校内や公園(年間を通して行っている)にはない。
- サクラの木が何本かある。例年11月終わり頃から葉の色が変わる。
- 校内の生活科広場には、エノコログサがたくさんあり、緑・金・茶と時期によって色が変わる。
- センダングサなど服の服や動物の毛に種がつく植物がある。秋の初めには黄色の花を咲かせ、徐々に種ができる。
- ススキやガマが少しある。
- 夏から秋にかけてフヨウの花が咲き、秋が深まると実ができる。
- オヒシバなどのイネ科の草がたくさんある。
- セイタカアワダチソウの花がある。
- 校内に、柿の実がなる。
また、春夏秋冬のそれぞれの季節の特徴に気付くことができるようにするため年間を通して学区域にある公園へ行っています。そこにはモミジやイチョウはありますが、ドングリはほとんどありません。
このような学校や地域の現状と子どもたちの実態をもとに単元をつくっていきます。
子どもたちが自分の生活に生かしたり、次の季節である冬の単元へとつなげていったりすることを考えると現状を細かく分析して、単元終了後にどのように生活するようになってほしいのかを踏まえ、単元の目標と実際の活動をつくります。
内容(5)は、内容(6)の自然やものを使った遊びと組み合わせて行われることが多い単元ですが、秋の自然に十分に触れ、そのよさや特徴に気付き自分の生活に生かすことができるようになってほしいという思いから、内容(5)季節の変化と生活のみで行うことにしました。
(5)身近な自然を観察したり,季節や地域の行事にかかわる活動を行ったりなどして,四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き,自分たちの生活を工夫したり楽しくしたりできるようにする。
そして、内容に示されていることをもとに、実態と目指す姿から単元の目標を次のように設定しました。
単元の目標
生活科広場や地域の公園などの身近な秋の自然と関わる活動を通して、見付けたことを表現したり生かして遊んだりし、秋の自然のよさや特徴に気付き、それらを取り入れ、自分の生活を楽しくしようとすることができるようにする。
具体的には、次のような工夫をします。
- 単元が始まる前に、木の実や葉など秋の自然や秋に関する図鑑や資料などを生活科コーナーに置き、自由に見たり触ったりすることができるようにする。「秋の自然と関わりたい」「自然のものを使って遊びたい」という思いや願いをもつことができるようにする。
- 秋の自然に様々な方法で関わることができるようにするために、紙コップ、紙皿、リボンなどのいろいろな材料を用意しておく。
- 学校図書館の読書学習司書の先生に秋のお話の読み聞かせをしてもらったり、本で調べる方法を教えてもらったりすることで、人との関わりを通して活動や考えを広げることができるようにする。
- 活動を家庭など自分の生活に生かしたことなどを紹介するコーナー(「イカすコーナー」)をつくり、生かすとはどのようなことかを理解したり、自分の生活につなげたりすることができるようにする。
- Googleドライブやスクールタクトなどで写真や動画などを共有したり、教師が児童の活動の姿や児童の発見等を写真や動画で撮影して、気付いたことを交流する際に見せたりするなどICTを効果的に活用する。
秋の単元も子どもたちの身近な生活から生活科の学習へ、そして生活科の学習からその後の子どもたちの生活が楽しく豊かになるようにしていきましょう。
つづく
プロフィール
東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。