令和の日本型学校教育における体験活動 ~生活科・下見編~

さとえ学園小学校

教諭 山中昭岳

私の生活科の実践には、どの学校に勤めていても二つのフィールドがあります。それは、「田んぼ」と「川」です。今回は、「川」について紹介します。

その前に……

2021年1月26日に、中央教育審議会から『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)』が出ました。

これは、新型コロナウイルス感染症を契機として、様々な生活様式が変わり、また、デジタル化が急速に進む中での初等中等教育段階の教育政策となりますが、その具体的な進め方等、教育進化のための改革方針を示す「教育進化のための改革ビジョン」も発表されました。

主に学びの在り方の変容をめざした教育DXと捉えられますが、学校内外での豊かな体験機会を確保することも求められています。

この約2年間、感染症対策の観点から学校においても体験活動は大幅にカットされ、現場の皆さまはその重要性を実感されていることと思います。そこで、今回からは「令和の日本型学校教育における体験活動」について提案できればと思っています。といっても、今までやってきたことなのですが……

そもそもなぜ「川」なのか。これを読まれている皆さまならどうでしょうか。

自然での体験活動の目的として、生活科の目標を達成することもありますが、その根本として「自然とのつきあい方の素地をつくる」ことをめざしています。幼少期における自然体験の充実は、人格形成において様々な効果があることがデータとして示されています。だったら、ホンモノに触れるほうがより効果がある!ということで、できる限り子どもたち、先生たちも含めてホンモノに触れる機会をつくりたいと思っています。

この記事の執筆段階では実践を終えていませんので、次号からその詳細をお伝えします。本号は、下見編です。下見では、何よりも先生たちに川の楽しさを味わってもらいます。

下見のポイントは、授業で使う写真のみを撮るということです。たくさん撮るのではなく、この時点でこれは「提示資料用の写真」「子どもたちに渡す写真」というように授業を設計しながら、写真を撮ります。せっかくの下見です。教材研究の時間として、この時間で授業準備が終わるようにします。これができるのも教員も含めて1人1台の端末があるからです。

 

川で、先生たちには、子どもたちに対してと同じように発問をし、子どもたちと同じように活動をしてもらいました。何より先生たちに「川って楽しい!」と思ってもらうように、自ら川の良さに気づくように、ある意味不親切に働きかけました。その上で、安心・安全に活動できるポイントを共有し、確認しました。

下見で撮った写真がそのまま教材となります。教材化は、下見の時点で始まっています。1人1台の端末があることで、下見をしながらもう導入の授業が出来上がっているのです。

では、この写真がどのように授業で活用されるのでしょうか。以前に、「1人1台デバイス時代における生活科の授業の中でのスキルアップ~1年生からクラウド活用~」で紹介した授業の形態がヒントになります。

次号以降では、実際の授業の様子を紹介していきます。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

さとえ学園小学校

教諭 山中昭岳


なぜ、小学校の先生に?

給食、遠足、修学旅行。楽しく、変化いっぱいの毎日が過ごせ、誰よりも一番近くで子どもたちの成長する姿をみることができるから。

my belief

先生は子どもたちにとって空気のような存在