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「夏休みの生活」を「生活科の学習」へ

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ

8月も終わりに近付き夏休みもそろそろ終わりです。先生方も夏休み明けの生活科をどのように始めるか、また、2学期の生活科をどのようにするのかを考えている頃ではないでしょうか。

夏休み明けの生活科の学習は、これまでの生活科の授業づくりでお伝えしてきたことと同じように「例年この時期に、この活動をしているから、これをしよう」と教師主導で行うのではなく、子どもたちの生活やその年、その地域、その学校に合わせて行います

夏休みの子どもたちの様々な体験には、生活科の内容に関連するものがたくさんあります。自由研究やスピーチ、日常の会話などそれぞれの経験を交流することで、子どもたちは「すごい!」「いいね!」「〇〇さんの〇〇をやってみたい」「おもしろそう」という思いをもってつぶやいたり、表情に出したりしています。それらを生活科の学習へとつなげていきます。

例えば、以下のようなことが考えられます。

内容(2)家庭と生活

  • 夏休みの日記やスピーチでのお手伝いに関することから、家庭での生活について考え、自分の家での仕事や役割を考えたり、してみたりする活動へ。

内容(4)公共物や公共施設の利用

  • 夏休みに図書館や児童館などを使用したという会話などから、皆で公共施設を利用する活動へ。

内容(5)季節の変化と生活

  • 夏の遊びをしたという日記やスピーチ、日常会話から夏の遊びや生活について考え、夏についてまとめる活動へ。
  • 1学期に行った公園へ夏休みにも行ったという会話から公園での季節探しなどの活動へ。

内容(6)身近な自然や物を使った遊び

  • 夏休みの自由研究や工作などから、身近な物を使って遊んだり、遊びに使う物をつくったりする活動へ。

内容(7)動植物の飼育・栽培

  • 色水や押し花などの経験から、皆で花を使って遊ぶ活動へ。
  • アサガオの成長を記録したり、まとめたりした自由研究から、今までのアサガオの成長を振り返り、絵本の形にする等の栽培活動を振り返りまとめる活動へ。
  • 春から育ててきた植物の片付けをしたり、秋まきの種を用意したりしたという会話から、秋からの植物の栽培活動へ。
  • セミなどの生き物の研究や、カブトムシなど虫探しをしたという日記、トンボを見たなどという会話、もってきた生き物などから、身近にいる生き物を探して触れ合ったり、育てたりする活動へ。
夏休みに見付けた生き物の話題から身近にいる生き物を探して触れ合ったり、育てたりする活動へ
夏休みに見付けた生き物の話題から身近にいる生き物を探して触れ合ったり、育てたりする活動へ
夏休みの経験から生まれた子どもたちの思いを生活科の学習へとつなげていく
夏休みの経験から生まれた子どもたちの思いを生活科の学習へとつなげていく

その他にも子どもたちの夏休みの経験の中には、生活科の内容に関することがたくさんあると思います。大切なのは、まずは教師がそれらをキャッチすること、そして、子どもたちの思いから生活科の学習へとつなげていこうとすることです。

季節に関すること(栽培や生き物も含めて)などの学習は適切なタイミングがあるのでそれらを行う時期を優先すると、すぐには行うことが難しい内容、少し先に取り組む内容や活動もあると思います。そういう場合でも、「みんなでこういうことをしたいね」ということを共有しておいたり、教師が記録しておき、それぞれの単元の導入で話題にできるようにしておくと良いでしょう。

または、2学期の生活科でしたいことについて話し合ったり、掲示しておいたりすると良いかもしれません。これからの生活科の学習が楽しみになり、意欲的になるなど取り組む姿が変わってくると思います。

2学期も、まずは夏休みの子どもたちの生活から生活科の学習へ、そして子どもたちの生活が楽しく豊かになるようにしていきましょう。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ


なぜ、小学校の先生に?

小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。

my belief

「笑う門には福来る」

「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。