東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
GIGAスクール構想により、子どもたちが1人1台PCを持ち、使用することになりました。
本区でも、1人1台タブレットPC(Chromebook)を使うようになって2年と少しが経ちました。私たち教員もまだまだ勉強しながらではありますが、よさを生かして取り入れることができるようになってきました。
そこで何より驚くのは1人1台の使用になってからは、学校にあるPCを交替で使用していたこれまでとは比較にならないくらい、子どもたちの習得のスピードが速いことです。時代の変化に伴う周囲の状況の変化ももちろんあると思いますが、自分専用で使えるということで、子どもたちの意識が全く違うようです。
今年度、1年生もタブレットPCを使い始めて約1か月ですが、ワークシートの代わり、補充問題、発展的な内容への取り組み、調べるためのツール、考えや作品を共有する手段として、様々な教科等で子どもたちは、意欲的に使っています。
活動や体験が中心となる生活科では、活用できる場面がいくつも考えられると思います。
今回は、生活科でのタブレット活用について、教師が使う場面と子どもたちが使う場面について1年生を中心に考えてみたいと思います。現段階の考えであり、今後の周囲の状況などによっては、変わることも考えられます。
教師のタブレットPC活用法
1.活動の姿などを写真や動画で撮影し、投影する
まず、教師が取り組みやすく有効な方法として、子どもたちが対象に関わっている姿を写真や動画で撮影し、記録しておきます。そして、1時間の授業の後半に気付いたことを共有する際や、振り返りの時にその写真や動画を映して、視覚的にも分かりやすくします。
ポイントとしては、アサガオなどの花や、野菜の栽培、飼育、季節の自然、遊びに使う身の回りのもの、学校、町、またそこにいる友だちや周りの人などにどのように働きかけているかという姿を記録するということです。
写真や動画などに撮ろうとすることで、教師側も評価規準や目標、単元計画を頭に入れて子どもたちを見ることができるようになると思います。また、評価の際にも参考にでき、子どもたちがかいたカードやワークシートだけの評価ではなく活動の姿からの評価がよりしやすくなると思います。
2.児童と共有できるフォルダを作成し、資料を入れておく
また、参考資料となる動画や資料などを、共有ドライブなどの子どもたちが閲覧可能なフォルダに入れておきます。例えば、野菜の世話の方法(脇芽摘みや肥料のあげ方)などが有効です。
3.動画(動画サイトや教師の模範など)を放映する
他にも、スタートカリキュラムの「なかよしタイム」では、大きな声で歌うことができない代わりに、ダンスを踊ったり、体操をしたりとみんなでたくさん体を動かしました。その際、教師のタブレットを大きな画面に映して行いました。様々なダンスや体操をすることができ、レパートリーが増えました。
「なかよしタイム」について詳しくは、こちらをご覧ください。
子どものタブレットPC活用法
次に、1人1台端末になったことに、より活用しやすくなった子どもが使用する場面です。
1.見つけたものや気付いたことを表現したり、共有したりする
低学年の子どもたちがタブレットPCを活用することが多いのは、見付けたものや気付いたことなどを表現したり、考えたことを友だちと共有したりする場面です。
本校では、タブレットPCに子どもたちが手書きで書くことができ、写真も簡単に載せることができる授業支援システム「スクールタクト」を様々な場面で利用しています。教師が設定を変えることで、タブレット内で子どもたちがお互いに書いたものや撮った写真を見合うこともできます。
文字の入力については、設定によっては、子どもたちが手で書いたものをテキストデータに変換することもできますが、多くの場合は、その子らしさを感じられる手書きの文字を使っています(従来の紙のカードなどは、気づいたことを自分の中で整理して表現するというよさもあるので、併用しています)。
生活科で使う場合に、ここで大切なことは、写真を載せて終わりとならないようにすることです。
生活科での思考・判断・表現としての役割を果たすことができるよう、写真に注釈などを書き足したり、写真をもとに説明したりします。また場合によっては、絵を描き足したり、いくつかの写真や絵などに矢印などを書き足し、整理することもできます。
教師が教える前に、伝えたいことをわかりやすくするために写真をトリミングしている児童も数名いて驚きました。そして、作成したページをスライドとして再生することもできるので、発表の際にプレゼンテーションとして使用することができます。
2.知りたいことを調べる
栽培をしていてわからない世話の方法や興味をもったことなどを図鑑などと併用して検索しています。
タブレット端末を用いることによって、栽培についての興味や関心を高め、子どもたちがより主体的に学習に取り組む姿が多く見られます。また、「今日やったことを家で見せよう」と言っている子もいました。子どもたちの話によると、家で「スクールタクト」などを見せながら学校で学習したことを話しているそうです。学校での様子を家庭へ伝える有効な手段になっているようです。
これからも子どもたちの発達段階と、教科等の特性、そして時代の変化に合わせて、タブレット端末をはじめとするICTの効果的な活用とはどのようなものか、教師自身も学び続け、試行錯誤を重ね、より効果的に活用していくことができるようにしていきたいと思います。
つづく
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プロフィール
東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。