兵庫県たつの市立龍野小学校
教頭 石堂裕
新たな学校、そして新たな役職となって2か月が過ぎました。担任をしていた時とは異なる仕事が多く、「分からないことはすぐ聞く」と決めて、対応しています。この「相談できる環境づくり」は、職場はもちろん、市教委や保護者との関係づくりにも必要だと実感しています。
さて、私は学級担任ではなくなりましたが、これまで担任していたころと同様に継続していることがあります。それは「休み時間には運動場に出ること」です。最近は、2限目の授業終了のチャイムや昼休み開始のチャイムが鳴ると、「教頭先生、遊ぼう」と職員室に迎えに来てくれる子も増えました。運動場に出ていると、子どもたちの遊び方や友だち関係がよく分かります。その都度、「何気ない会話ができる環境づくり」に努めています。
実は、この「何気ない会話ができる環境づくり」こそが、学級担任としては、子どもたちと先生との関係を築き、子どもたち同士の関係を把握するよい機会となり、私たち管理職にとっても、学校の安全管理や危機管理を知る機会となります。本校の場合、数名の先生が外遊びをしてくれるので、「ありがとう」、「お疲れ様」の声かけとともに、必要な場合は、子どもたちの様子について情報共有をすることも忘れないように努めています。
「何気ない会話ができる環境づくり」は、授業にも役立ちます。私は3年生から6年生までのすべての学級で授業を担当しています。ただ毎日ではないため、子どもたちの名前も交友関係も確実に覚えきれていない状況です。クラス担任でない今、改めて、授業づくりと学級経営の相関関係を実感しました。だからこそ、休み時間の「何気ない会話ができる環境づくり」が貴重で、そこで得た子どもたちとの関係をうまく活用することにしています。それでもクラス全員の情報ではないため、授業の導入で、どれだけ子どもたちの関心をひき付けることができるかが勝負です。
たとえば、3、4年生の4クラスで行う新聞を活用した国語の授業では、「海鳥とプラスチックごみ問題」の記事(朝日小学生新聞)をそのまま与えるのではなく、「海鳥からメッセージが届いたよ」と提示してみました(図1)。
その後、「海鳥さんに何があったのかな」と問うと、子どもたちは、「人間が撃ったのかな」や「餌の問題かな」などと個々に予想をし始めます。その後、「実はね、こんな記事が届いたよ」と記事を紹介するのです。するとどの子も興味をもって読んでいきます。記事の紹介には事前にクラウド上の協働学習ツールに記事を添付しておき、個々が自分のペースで読める環境を整えておくと便利です。読み終わった後に内容を深める画像や動画クリップを用意しておくと、子どもたち一人ひとりの理解が深まるため、さらにクラス内での議論は活発になります。
授業の終わりには、図2のように一人ひとりが協働学習ツールに意見を書き込んでいきます。この書き込みがあることで、子どもたちの理解度を知ることができるとともに、子どもたちとの「何気ない会話ができる環境づくり」に生かせる重要な資料になるのです。
つづく
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プロフィール
兵庫県たつの市立龍野小学校
教頭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」