· 

新学期、学級目標に願いを込めて

兵庫県たつの市立龍野小学校

教頭 石堂裕

いよいよ、学校現場では令和4年度が始まりましたね。先生方は、新しいクラスが決まり、子どもたちとどんな1年にしようかなと想像を膨らませているのではないかと思います。私は、真っ先に学級目標を決める準備をします。子どもたちの様子や学年での学習内容・活動内容をもとに、「1年先の3月末に、こんな力がついているといいな」と想像するとわくわくします。

学級目標づくりで気をつけていることは、担任の願いと子どもたちの思いが重なることです。そのために、まず私から、「みんなにはこんなことを期待しているよ」との願いを伝えるようにします。たとえば、図1は2021年度に担任した6年生に示した学級目標です。

図1:子どもたちに示す学級目標(6年生の場合)
図1:子どもたちに示す学級目標(6年生の場合)

6年生の場合、その他の学年とは少し異なることがあります。学校行事や児童会活動の中心となって活躍することが求められるのです。そこで、新宮小児童の愛称が「みつわっ子」であることから、「みつわっ子の楽しく学び、楽しくすごす鍵(key)は、みんながもっている」ということを説明し、6年生としての役割を伝えるようにするのです。その際、図1のようになるべく子どもたちが記憶しやすいようにしておくことも大切です。予想通り、みんなは、合言葉のように、すぐ「楽key(ラッキー)」を覚えました。

その後、今度は、子どもたちが「楽key」を達成するために、どんな目標にするかを考えるのです。図2は、みんなでキーワードを出し合い、クラスの人数分の文字数に合わせて言葉にしたものです。それを習字の時間に書きました。この時の約束は、「半紙は1枚」としています。みんなは、「緊張するなあ」、「失敗できないな」などの言葉を発しながら書いていきます。図2のように貼り終えると、自然に沸き上がる拍手や歓声。「よし、頑張ろう」との思いがこもっていると感じました。

図2:子どもたちが考えた言葉
図2:子どもたちが考えた言葉

さて、図3は、2022年3月の卒業前の背面黒板の様子です。みんなが1年間活動してきたことを写真418枚(41「よい」8「末広がり」:進学する中学でも幸せが待っているとの思いを込めて枚数にもこだわりました)を使って文字にしました。文字は「楽key成功!」です。事前に一人ひとりが作文で振り返りをし、「成功した」と感じていることが条件です。作文だと各々一部の活動を取り上げていますが、改めて写真で思い出すことによって、その活躍の跡を実感することができるメリットがあります。1年間取り組んできた「SDGs大作戦」も卒業する6年生を象徴する言葉に変身しました。もちろん、この言葉もみんなで考えました。学級の終わりも「みんなで」を意識できる絶好の機会なのです。

図 3:卒業前の背面黒板の掲示
図 3:卒業前の背面黒板の掲示

4月最初に決めた学級目標をもとに、1年後の3月末、みんなで振り返り、新たな学年、学校への思いをもつことは大切です。この4月がそのきっかけをつくる大切な時期ですね。

つづく

関連記事

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立龍野小学校

教頭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」