兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
こんなお悩みはありませんか?
- 授業の時間が延びて、振り返りの時間を確保できなかった
- 児童の振り返りをチェックする形成的評価の時間がなかった
今回は、「オンデマンド学習」を取り入れた効果的な評価の方法をご紹介します。
GIGAスクール構想によって、高速大容量ネットワークとクラウドの環境が整備され、学習者一人に1台の情報端末が配付されると、1時間あたりの授業設計にも変化が見られます。大きな枠組みの「目標の設定-学習類型(習得、活用、探究)の選択とそれに基づいた授業展開-評価」は変わりませんが、効果的な手段としてのICTを位置付けることによって、授業展開の仕方と評価(ここでは学習者の自己評価を指します)が大きく変わります。今回は、評価についてお話します。
学習指導要領(平成29年3月告示)の改訂によって、一段と注目されたのは、学習者自身の自己評価です。つまり、自らの学習行為について、メタ認知的に振り返り、自己調整することが求められています。自己調整については、観点別評価の「主体的に学習に取り組む態度」の重要な役割を担っています。
さて、従来であれば、授業の終末の5分程度を使って、学習ノートに本時の振り返りを書かせていたのではないでしょうか。この場合、少し授業展開の時間が延びてしまうと振り返りの時間そのものが確保できなかった経験はありませんか。また、振り返りを書かせたけれど、それをチェックする形成的評価の時間がなかった経験はありませんか。これらの課題をクリアする方法の一つが、協働学習ツール「コラボノート」(株式会社ジェイアール四国コミュニケーションウエア)を用いたオンデマンド学習です。本校ではまだ情報端末を持ち帰ることができませんが、コラボノートだと機種を限定することなく、家庭にある端末やスマートフォンなどから書き込みができるため、それを用いたオンデマンド学習を取り入れています。
※株式会社ジェイアール四国コミュニケーションウェア コラボノート
https://www.collabonote.com/
本時の振り返りがオンデマンド学習になることで、授業展開が5分増えます。その分を学習事項の整理(学習ノートやワークシートを整理したり、算数であれば練習問題を解いたりする時間)に充てることができます。さらに、オンデマンド学習であれば、学習者も自分のペースでじっくりと振り返って記述ができるし、教師もその記述と日中の学習の見とりとを重ねて、形成的評価を行うことができます。例えば、理科や社会科、総合的な学習の時間のように、学習者一人ひとりの気付きや疑問をもとに、次時の学習活動をつくる学習には学習者の記述がポイントになるので、今後もオンデマンド学習を継続し、より効果的な方法を探っていきたいです。
振り返りシートには、本時の授業板書の画像を貼っておくと、振り返りに役立ちます。また教師側で、次時の学習のきっかけになる学習者の気付きや疑問の記述に色付けをしておき、次時の授業の最初にみんなで確認をしてから、本時の授業の問いをみんなで作成しています。
つづく
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プロフィール
兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」