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どう習慣化する?「児童の家庭学習」と「教職員のICT活用」

東京都八王子市立由井第三小学校

主任教諭 八木美香

家庭学習は自然には習慣付かない

子どもたちは急に何かができるようになるわけではありません。

今では学級の子どもたち全員が家庭学習に取り組むようになりましたが、年度当初からあっさりと習慣付いたわけではありません。話し合いが上手になったのも、振り返りのカードに自分の考えを書けるようになったのも、だんだんできるようになりました。

それらは自然とできるようになったわけではありません。

例えば、「家庭学習」では、子どもたちが書き込める月予定表を準備し、新出漢字の練習を進めていくことができるように短い期間での締切日を予定表に示し、自分で予定を立てることができるようにしました。

子どもが取り組んできた家庭学習は、毎日担任が確認し、予定表と取り組んだドリルやノートに日付入りのスタンプを押してあげることで、予定表がじわじわとスタンプで埋まっていきます。ノートは、上手に書いてある文字を見付けて花マルを付ける! 3学期の現在は、家庭学習に取り組まない子どもはいません。

今では漢字や計算のドリルだけでなく、学習したことの続きを調べたり、まとめたりする子ども、算数の問題をたくさんつくり、まるで問題集のようにしている子ども、学校での学習(実習や実験)を家庭で再現し、その様子を絵や図でまとめる子どもなど、学習方法が広がっています。

子どもたちはこのような発展系の家庭学習を「オリジナルの学習」とか、「続きの学習」とか名前を付けていたので、「オリジナルの学習」用に直径1センチくらいの赤シールと「続きの学習」用に黄色シールを準備して壁に貼っておいて自由に使えるようにすると、予定表に自分で貼り、「オリジナルの学習に取り組んだよ!」と誇らしげにしています。

教職員の草の根ICT化

教職員のICT化はどうでしょうか。本校の校長から「校内で自分がリードしている仕事の運営は、まさに学級経営と同じです」という話を伺いました。

このコロナ禍で急に進んだ学校内のICT化。一人一台のPCを持ち、授業で活用することが喫緊の課題になっています。「このように取り組みましょう」と提案しても提案しただけでは、興味のある人や課題意識の高い人のみの取り組みになってしまいます。

子どもの「家庭学習」に置き換えると「予定表を配っただけ」になってしまいます。実現できるように情報提供したり、研修会を開いたりすること、また、進捗状況を自ら価値付けしたり、互いに価値付けし合ったりする場を設けなければなりません。興味や問題意識をもっている人が花マルなのではありません。得意分野でなく、何から始めたらよいかすら分からず困っている人がいるかもしれません。学級経営で子どもの気持ちを察して策を講ずることが必要なのと同じで、職員同士も気持ちを察し合うことが大事だということに気付きました。

私は、現在、校内でICT担当ではありません。「学級経営」に置き換えてみると、ICT担当が担任だとしたら私は子ども。しかし、実際は大人であり、教職員であります。じーっと待っているだけではいけないと自覚しました。校内での位置関係を自覚し、この立場ならばどう動けばよいかを考えています。

先輩の先生いわく、「学級経営、学年経営、校務分掌、校内の取り組みなどに関わる時に臆して、足並みを『そろえる』ことだけに目を向けてしまいがち。関係者間で高低差、難易差、新古差がある場合、易きに流れる方が楽だけれど、あえて反対に高い方、難しい方にチャレンジすると成長する。実現するためには工夫も必要になるからどの立場の人にとっても学びになる」とのこと。そして、「がんばれ! あきらめるな!」と励まされました。

さあ、私たちも草の根ICT化です!例えば、教職員同士の振り返りや反省の方法は、以前と比べてこのように変化しています。

以前

現在

紙に書いて提出

用意されたデータに打ち込み

用意されたデータの格納場所について、掲示物や配布物に「◯◯ドライブの◯◯フォルダの◯◯というデータ」と示していた

データの格納場所はPC上の教職員掲示板にて案内し、リンクを貼って、クリックだけでアクセスできるようになっている

集合・対面形式の会議

感染防止やPC操作が必要なときには、Google Meetでの会議

振り返りや反省についてWordExcelで作成したものを担当者がプリントアウトして配付

WordExcelのファイルをPDFにして共有または振り返りや反省をGoogleフォームで提示し、そこに入力する。GoogleフォームはExcelに変換できるので、情報を整理しやすい

これを児童の活動に展開します。

  • 学級会での準備として自分の意見を準備するときにGoogleフォームを使う
  • 委員会活動で各学級、児童全員から意見を集めるときにGoogleフォームを使う
児童会委員会での子どもたちによる提案
児童会委員会での子どもたちによる提案
Googleフォームで作成した、児童会委員会から児童に向けてのアンケート
Googleフォームで作成した、児童会委員会から児童に向けてのアンケート

教職員へのアンケート協力依頼。Googleフォームでのアンケート実施にあたって“サポートセンター”を設置して対応
教職員へのアンケート協力依頼。Googleフォームでのアンケート実施にあたって“サポートセンター”を設置して対応

じわじわと広がっています。何とか学校のICT化に向けて、私なりに手立てを講じていきたいと思っています。

がんばるぞ! あきらめないぞ!

つづく

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東京都八王子市立由井第三小学校

主任教諭 八木 美香


なぜ、小学校の先生に?

元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。

my belief

「楽しい♪」の中に学びあり。