さとえ学園小学校
教諭 山中昭岳
本来ならば、本ブログは生活科の実践を綴っていくものですが、このような状況下ですので、3月のリモート授業の紹介に引き続き、4月以降、実現している「1日6時間のリモート授業の裏側」と「ポストコロナの教育」について少し触れさせていただきたいと思います。
2月の時点で、4月以降長期の休校となることを想定していた本校は、3月からのリモート授業での実証実験の結果、4月より1日6時間(週30時間)、全教科でのリモート授業を実施してきました。現在では教員もリモートワークでの授業を行うことができています。
F/S(feasibility study):プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討すること。
CYOD(Choose Your Own Device):企業や組織で業務に使用してもよい携帯端末を何種類か選定し、各自が使いたい機種を選んで利用すること。
教育の現場でこのような取り組みができた要因を端的に表すキーワードは、“アジャイル化”です。
アジャイルとは、「素早い」という意味の英単語で、仕様や設計の変更があることを前提に開発を進めていき、徐々にすり合わせや検証を重ねていくというアプローチのソフトウェア開発手法です。その手法を用いて以下のことを重視し、取り組みを進めてきました。
- 先を想定する:中期、長期目標を設定する
- スピード重視:完璧を目指さず最低限からスタートし、できる一歩から始めて修正していく
- 学び続ける:他分野の視点を取り入れる(経営学、システム開発等)
- チームづくり:主体的に動く学校へ
本校の「リモート授業」とは、「自宅で学校と同様の内容の学習ができる」と定義づけしています。つまり、オンラインでのオンタイムのやりとりが必須なのではなく、全教科毎時間、その時間内にできる課題を設定し、それらの課題を達成することで授業に参加したことになるようにしています。
システムづくりで大切にしたのは、学校と子どもが必ずつながっているツールを中心にしたことです。この図でいうと、GoogleのClassroom(クラス単位で運営や管理ができるツール)がそれにあたります。本校ではGoogleのClassroomを以前より連絡帳の代わりとしてずっと活用してきたため、子どもたちにとって、このツールでのやりとりは当たり前にできることの一つです。それに加えて、学校と同様の学びの形を選択できるように様々なツールを準備しました。
インプット型 |
一斉授業 | 動画配信(さとえChannel:クローズドな環境で本校の教員が作成する授業動画が見られるサイト) |
インタラクティブ型 |
グループ学習 |
オンラインミーティング(Zoom:映像や音声を使ったWeb会議ツール) |
アウトプット型 |
作品づくり・発表 |
プレゼンや作品提出(Googleドライブ:インターネット上にファイルを保管できるサービス、Classroom:クラス単位で運営や管理ができるツール) |
プロジェクト型 |
自律学習 |
長期間、自分たちで学びを進める(ポートフォリオとしてEvernote:個人用のドキュメントを管理できるツール) |
各教員がそれぞれの単元、授業において上記に示した学びの形を適宜選択し、リモート授業を行っています。
今回はここまでにしたいと思います。次回は、この1日6時間のリモート授業を支えた、子どもたちのiPad活用のスキルとモラルの向上を目指したレベルアップ型ルールを紹介します。
つづく
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プロフィール
さとえ学園小学校
教諭 山中昭岳
なぜ、小学校の先生に?
給食、遠足、修学旅行。楽しく、変化いっぱいの毎日が過ごせ、誰よりも一番近くで子どもたちの成長する姿をみることができるから。
my belief
教師自身が一番の学び手であれ!!