兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
1.見通しを示すこと
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための臨時休業中の自宅学習について紹介したいと思います。
まず、図1に示すような見通しを立てました。本校の先生方と共通理解を図るためです。4月8日からの臨時休業からの2週間を1フェーズとし、子どもたちと保護者の皆様に、「見通しを示すこと」をねらいとしました。
取り組んだことは、写真1の子どもたちの主体的な学びや学習習慣をつけるための手引きである『みつわっ子まなブック』の配付と「赤ペン先生作戦」です。
『みつわっ子まなブック』とはA4サイズ、5ページの冊子で、1日の学習計画づくりから、すべての教科学習と総合的な学習の時間を自宅で進めるポイントまでを記載しているのが特長です。また、『朝日小学生新聞』や学校向けのさまざまなインターネットサービスを提供する『NHK for School』などを使った学習の手順も示しています。この冊子を入学したばかりの1年生から6年生まで全員に配付しました。この休業期間は主体的な学習習慣づくりに力を入れたいという意図を伝えたかったからです。
また「赤ペン先生作戦」とは、写真2に示すように、提出された学習課題を丁寧に見取り、ふせんにアドバイスを書いて返却することです。4月からの臨時休業と3月の臨時休業とでは学習課題の出し方が異なります。そこで、復習に関わる紙の学習課題をプリントとし、教科書の内容に関わる紙の学習課題をワークシートとして、違いがわかるように作成することを校内で統一しました。
さらにこの「赤ペン先生作戦」の意図を保護者の皆様に示すために、研究推進委員会だよりを発行し、図2に示した基礎的な学習の意図と発達段階とを関連させて提示しました。1フェーズにおいて、どの学年の先生も徹底して「赤ペン先生作戦」に取り組んだことで、子どもたちにも保護者の皆様にも安心感が広がったようです。
2.今でもできること
さて、学習活動を大別すると図3のようになります。そこで、2フェーズでは、自ら課題を見つけて、それを解決しようとする学習のうち、ネット環境が十分でない本校でもできることを考えました。それが朝日小学生新聞の活用です。ゴールデンウィーク期間を利用し、「一人で」または「家族と」考えを深める学習を取り入れ、A4版1枚のレポートを作成することに力を入れたところ、新聞記事を読んでわかったことをまとめたり、さらにくわしく調べたりしたレポートが子どもたちから提出されました。
3.工夫すればできること
現在、本校では、リアルタイムによる双方向授業はできません。ただ、何か子どもたちと双方向でのやり取りができないかと考えた結果、協働学習支援ツール「コラボノート(ジェイアール四国コミュニケーションウェア)」の利用にたどり着きました。
※株式会社ジェイアール四国コミュニケーションウェア コラボノート
これが3フェーズの「工夫すれば期待できること」です。このコラボノートは大変好評で、例えば生活科なら、アサガオやミニトマトの観察記録のやり取りや学校探検クイズでのやり取りが現在展開中です。簡単な動画も添付できるため、学習課題についてのサポート動画なども紹介できることが、入学したての1年生にも興味深いようです。保護者の皆様の「先生や友だちからの返事を楽しみにしています」といったコメントに、先生方もよりいっそう頑張ろうとしてくれるのもうれしいです。
本校も学校再開に向けての準備が始まりました。子どもたちの命を守ることを優先にしつつ、たった一人の子どもも取り残さないように、学びを止めない実践を継続したいと思います。
つづく
プロフィール
兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」