東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木 美香
2学期の町たんけんの大詰め、発表会が行われました。
本校は児童数が大変多く、一般的に行われている町たんけんのように、訪ねてみたいところを児童が選んで探検するという形が取れません。
探検場所(方面)や探検先の確保、安全面の配慮などから、2クラスまたは3クラスごと(1・2組、3・4組、5・6・7組というかんじの組み合わせ)に複数の場所を探検し、その中で、一人ひとりの子どもが自分なりの「すごい!」を見つけ、まとめの活動で「『すごい!』のはっぴょう会」を行って発表し合います。
今回は、その発表会のもち方と、それぞれの子どもの姿や教師の見取りについて書いてみようと思います。
◆町たんけんの発表会◆
実際の探検活動が終わった後、各クラスで活動の振り返りを行い、「すごい!」について整理しました。
発表会では、子ども一人ひとりが自分なりの「すごい!」について発表します。
発表のしかたは様々です。絵や文で表現する子だけでなく、実際に見つけてきたものや行われていたことについて再現しようとして、ものをつくってみたり、出会った人とのやりとりを再現する劇をつくったりして表現する子もいました。
☆発表会の活動の流れ
- 練習会
- 第1回発表会
- 第2回発表会
まずは、各クラス内で「練習会」と称して発表し合って、互いにどのような「すごい!」を発表しているかを知りました。
「第1回発表会」は、同じ場所を探検したクラスどうしで行い、発表し合います(具体的には、前述した1・2組どうし、3・4組どうし、5・6・7組どうしです)。
同じ場所を探検してきているので、子どもにとって、自分のクラス内での表現活動以外に「こんなふうな発表もいいなぁ」と、様々な発表のしかたに出会ったり、自分のクラス内になかった視点に気付いたりして、新鮮な感覚をもって互いの発表を見合うことができます。
発表は、各クラス内で「教室に残って発表するチーム」と「相手のクラスに行って発表を聞くチーム」の二つのチームに分かれ、発表時間の前半と後半で交代する方法をとりました。
「第2回発表会」は、違う場所を探検したクラスで組み合わせをつくり、発表し合いました(例えば、1・3組、2・5組…)。
各クラスを「発表するチーム」と「聞くチーム」の二つのチームに分けて、前半と後半で発表する子どもと聞く子どもが交代する発表方法は同じですが、第2回発表会では一工夫しています。
名付けて「ツアコン方式」!
例えば1・3組が行うときは、「聞くチームの1組の子、3組の子、それぞれ1列で並びましょう。前から二人組にしますよ!」と違うクラスどうしの子どもたちでサッと二人組をつくっていきました。
1組を見てまわるときには、1組の子どもがツアーコンダクターになって、「ここは、パン屋さんですよ。〇〇さんが発表します。聞いてください」と案内しました。
3組に移動すると3組の子どもが交代してツアーコンダクターになります。
「3組は、お好み焼き屋さんに行きました。〇〇さんがお好み焼き屋さんになってお好み焼きを焼いてくれますよ。見てください」と言いながら、お好み焼き屋さんになりきってお好み焼き屋さんの技をやって見せてくれるコーナーを案内していました。
この「第2回発表会」では、お互いの探検先が違う場所なので、子どもにとって「こういうところを探検したんだぁ。なるほど!」「おお!すごいなぁ。へぇ」とワクワク感満載で活動が展開されました。
また、ツアーコンダクターになっている子どもを見ると、探検に対する子ども一人ひとりの思いや、自分のクラスの友だちの発表についてどのようにとらえているか、などが案内をしている言葉や振る舞いから見て取れました。
◆まとめ◆
今回の町たんけんの“まとめ”の活動では、絵や文などの平面作品だけでの発表だけでなく、実際に「ごっこ遊び」風にやって見せながら発表するという『再現活動』に取り組みました。
子ども一人ひとりが自分の見つけた「すごい!」について、思いを込めて発表する姿がたくさん見られました。
そして、発表する形式でも工夫をし、互いに発表するときには「ツアーコンダクター」になって、友だちの発表を案内する役になる『ツアコン方式』としました。
また、「練習会」や「第1回発表会」で自分の発表や友だちの発表を複数回見てきたので、自分や友だちの発表へのこだわりや「すごい!」を理解し合っており、そのことをさらに深めあう様子について教師が見取ることもできました。
この発表会の活動を通して、教師として「町たんけん」の単元開発についても振り返りができました。
つづく
東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。