さとえ学園小学校 教諭 山中昭岳
本実践は、子どもたちが日常の中で、最も活用している「視覚」、これまで紹介してきた私の実践シリーズでは“みる”技、の落とし穴にはまることで、自分がいかに視覚に頼っているのか?ということを知り、他の諸感覚の大切さに気付くというものです。
情報社会と言われる現代、視覚から得られる情報は膨大です。本実践は、視覚からの情報だけをうのみにするのではなく、自分自身で確かめることの大切さに気付き、そこまで踏み込んでほしい、という願いもこめられています。
諸感覚をすべて習得した先にある、ゴールを思い出してください。
それは、「心とからだ全体で生き物と関わる子」を育てる、ということでした。(私の第1回の記事で示しています。)
今回は、“みる”技のみで探そうとする子どもたちに、諸感覚をフルに活用させる方法として、一人1台のiPad実践となります。ICT活用の詳細は、次号でお伝えしたいと思っております。本号では、実践の概要について紹介します。
まず、この写真を子どもたちに提示します。
子どもたちは、あっという間に、四つ葉のクローバーを見つけてしまいました。“みる”技には自信をもっているようです。
次に、この写真を提示します。
「この中に生き物がいます、見つけてください」と、声をかけます。
いかがでしょうか? 皆さんもさがしてみてください!
おそらく読者の皆さんも、この画像から生き物を探し出すことは、難しかったと思います。子どもたちも同様に難しさを感じ、“みる”技の自信をなくしてしまいます。
ここで、“みる”技だけを使うのではなく、他の諸感覚の技を使う技術を、子どもたち自らが生み出します。
これが本実践のポイントです。
「生き物を見つけるには、諸感覚のすべてを使って探すことが大切だよ」と教師から言われて行動するのではなく、自らその必要性に気付き、生き物見つけの技術を、確実に習得することをねらいとしています。
校庭や公園など、実践する場所で事前に写真を撮っておく必要はありますが、たった3枚の写真で実践できてしまいますので、教材づくりにほとんど時間をかけずにすみます。(次号で残りの一枚を紹介します)
これが、ICT活用の利点の一つでもあります。
そうして子どもたちは、諸感覚を用いて物事をとらえることは、「“みえているんだけどみえないもの”をみえるようにする」ということなんだ、と実感していくのです。
次回は、生活科におけるICT活用の視点について、またいかにして他の諸感覚を活用して課題をクリアしたのかなどについて、さらに本実践に切り込んでみたいと思います。
つづく
プロフィール
さとえ学園小学校
教諭 山中昭岳
なぜ、小学校の先生に?
給食、遠足、修学旅行。楽しく、変化いっぱいの毎日が過ごせ、誰よりも一番近くで子どもたちの成長する姿をみることができるから。
my belief
教師自身が一番の学び手であれ!!