東京都大田区立久原小学校 主任教諭 小笠原さちえ
今回は、幼稚園や保育所、認定こども園などの、遊びや生活を通した学びと育ちを生かして、学校生活を楽しく豊かなものにしていく子どもたちの姿について紹介します。
幼稚園での教育は環境を通して行われます。安心して過ごせることにより、自己を十分に発揮することができます。
実際に私が幼稚園で勤務していた頃、まずはじめに、子どもたちが「〇〇したい」と思う環境に、そして活動が進んでからは「もっと〇〇したい」と思えるような環境に構成していました。
きまりや約束もできるだけ生活の中で学んだり、3歳児であっても、本人が自分で「そうするといいね」と考えてできたりするように声をかけるなど、子どもたちの主体性を大切にすることを心がけていました。
さて、幼児期にそのような学びを経験した子どもたちが小学校へ入学してきます。どのような姿が見られるでしょうか。
4月。1年生は小学校に入学し、初めての学校生活がスタートしました。子どもたちは期待と不安でいっぱいのようです。初登校で緊張の表情を見せていた子どもたちですが、朝の支度を終えると「のんびりタイム」になります。
机はグループの形にして、子どもたちが知っている音楽をかけました。折り紙やお絵描き、絵本など、子どもたちは、自分の好きな遊びを選んで行います。ある子どもは、幼稚園のときにおぼえたものを折り紙でつくっていました。
「のんびりタイム」では、幼稚園や保育所、認定こども園などで一緒だった子どうしが遊んだり、席に座っている子もグループの形にしたことで、初対面の子どうしも話したりと、自然な関わりが生まれていました。
登校時には硬い表情だった子も、少しずつ明るい表情になりました。
靴箱やトイレ・水道のある場所などにも、みんなで探検に出かけました。
「どうすればいいのかな。」と、よく見て子どもたちが自分で約束を考えることができるような声かけをしました。すると、「〇〇するといいと思う。」という子がいました。
そこで、「〇〇さんがこう考えてくれたけれども、ねえ、みんな、どうかな。」とクラス全員に向かって尋ねると、「うん、それがいい!」となり、みんなで考えて、一つひとつ約束を決めていくことができました。
私は、子どもたちが自分たちで決めることによって、その約束を守ることができると考えています。
「学校って楽しい!」と言っていた子どもたち、学校探検や春探しなどで「〇〇したい!」がたくさん出てくることを、私も楽しみにしています。
つづく
プロフィール
東京都大田区立久原小学校
主任教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。