兵庫県たつの市立新宮小学校 主幹教諭 石堂裕
今回は八木美香先生の実践につないで、「自然や物を使った遊び」の単元を例にお話しします。
教師側に「子どもたちが動くおもちゃに関心をもち、意欲的につくってほしい」という思いがあるとします。
本ブログの実践者の一人である小笠原さちえ先生とお話しする中で「素材とたっぷり触れ合う時間が大切であること」に共感して、授業に取り入れてみました。
最初に、みんなで素材や形のちがう空き箱やトレイなどを集めるところから始めます。
お菓子の箱やトレイなどの具体物を見せながら「どんな入れ物を知っているかな」と問いかけると、さっそく数名の子どもたちが発表します。発言をきっかけに、みんなのイメージが膨らみ始めたところで「じゃあ一人ずつ付箋に書き出してみようよ」と投げかけると、イメージした形や素材の入れ物を付箋に書いて可視化する子どもたち。
書き出された付箋を操作しながらグループ分けをすると「トレイ」「紙でできた箱」「筒」などの条件が明らかになり、数日後には写真1のようになりました。
素材の異なる箱や筒などが集まったら、「動くこと」につながるきっかけを提示します。
写真2
今回は写真2のような傾斜の異なる二つの坂道を用意しました。子どもたちは、集めた箱やトレイなどを次々に転がしていきます。
ある程度の時間が過ぎたところで、子どもたちは、うちわも使って試し始めます。
写真3のように、形の異なる入れ物を重ねてみる子もいました。
たっぷりと箱や筒などと触れ合った後は、「ひとりの気付き」を「みんなの気付き」にする時間です。
「傾きが急な坂道の方がよく転がるよ」
「ゆるやかな坂でも、うちわで風をつくるとよく進んだ」
「箱より筒の方が転がりやすい形をしている」
「同じ筒でもトイレットペーパーの芯よりラップの芯の方が遠くまで転がるのは重さが関係していると思う」
など、素材や形、重さにまで関する気付きが明らかになりました。
小笠原先生が話していた「素材とたっぷり触れ合う時間が大切であること」を、私も実感した時間となりました。
「ひとりの気付き」を「みんなの気付き」にする時間をきっかけに、子どもたちの思考は広がっていきます。
つづきはまた次回に紹介します。
つづく
プロフィール
兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」