東京都港区立芝浦小学校 主任教諭 八木 美香
子どもは、つくりながら遊び、遊びながら「つくる」を進めます。「つくる」が進み、どんどんバージョンアップしていくと、もっともっと遊びたくなり、だれかに見せたくなります。
子ども「ねえ、見て!見て!」自分が遊んでいるところを見せたくなります。
子ども「やっていいよ。」自分のおもちゃでだれかが遊んでいるところを見たくなります。
ここで、教師「1年生を招待して遊びましょう。」がよくある展開です。
「1年生」に遊んでもらうのが良い展開ですか?今日は、ここを考えてみます。
私の所属校でも、つくったおもちゃで「1年生」と遊んだのですが,そこに至るまでにもう一工夫することで、格段に豊かな学習活動となりました。では,その仕掛けを紐解きます。
本校では、2年生が1年生及び4年生と関わる活動を、年間通して設定しています。関わる内容は、担任どうしに任されています。私は、1年生の担任の先生と、4年生の先生にお願いして1対1の組み合わせをつくってもらいました。互いを「きょうだいさん」と呼ぶことにしました。この1年間は同じ人とずっと「きょうだいさん」です。
1年生のきょうだいさんとは、音読が上手になったら聞いてもらいに行ったり、逆に図工の作品が上手にできたということで招待してもらったりしています。4年生のきょうだいさんとは、地域の清掃活動にペアで参加したり、ランニング活動で一緒に走りながら一定速で走ることを教えてもらったりしています。
「私の1年生のきょうだいさんは、黄色が好きなんだよ。」「4年生のきょうだいさんが体育しているのが見えた!見えた!」2年生は、学校内でお兄さん、お姉さん、妹、弟ができたような感じになります。
そこで、「つくってあそぼう」で上下両方のきょうだいさんと関わる計画を立てました。
4年生はさすが!褒め上手。笑顔上手。アイディアをもらえた子どももたくさん。そのあと、おもちゃの修理と改造。このあとの1年生のきょうだいさんとの関わりが盛り上がらないはずはありません!
すでに、この時点でここまで関わりが深まっているので、つくりながら「1年生のきょうだいさんに遊んでもらおうかなぁ。」という声があがりました。
「よぉし!」と私は心の中で思っていたら、「私は、4年生のきょうだいさんに先に遊んでもらうんだ!だって、私のきょうだいさんは工作が得意なんだよ。」「いいねぇ。ぼくもそうしたいな。」予想以上の反応が出て、きょうだいさんとの関わりについて全員で話し合ったところ、4年生、1年生の順できょうだいさんに遊んでもらうことになりました。
「相手意識」をもたせることが大切です。その相手は、元々子どもにとって関わりを楽しみにする〇〇さんと呼べる相手であるべきです。漠然と1年生を招待して、グループや班ごとに関わらせて、振り返りのときに、「喜んでいました。」「楽しそうでした。」という言葉しか出てこないのは残念です。
この実践では…
4年生:自分のおもちゃをより良くするためにアドバイスをくれる人
1年生:自分のおもちゃで楽しく遊んでくれる人
関わる相手は、立場の違う2人。その2人は、自分のことを知ってくれている「きょうだいさん」。自分より年上の学年、年下の学年であったことで、上記のような役割を設定することができました。
つづく
プロフィール
東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。